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生きる 谷川俊太郎



生きる 谷川俊太郎



生きているということ

いま生きているということ

それはのどがかわくということ

木もれ陽がまぶしいということ

ふっと或るメロディを思い出すということ

くしゃみすること

あなたと手をつなぐこと


生きているということ

いま生きているということ

それはミニスカート

それはプラネタリウム

それはヨハン・シュトラウス

それはピカソ

それはアルプス

すべての美しいものに出会うということ

そして

かくされた悪を注意深くこばむこと


生きているということ

いま生きているということ

泣けるということ

笑えるということ

怒れるということ

自由ということ


生きているということ

いま生きているということ

いま遠くで犬が吠えるということ

いま地球が廻っているということ

いまどこかで産声があがるということ

いまどこかで兵士が傷つくということ

いまぶらんこがゆれているということ

いまいまが過ぎてゆくこと


生きているということ

いま生きているということ

鳥ははばたくということ

海はとどろくということ

かたつむりははうということ

人は愛するということ

あなたの手のぬくみ

いのちということ



ーーーーーー



私の大好きな詩です。

子供の頃、家に、この詩集がありました。


絵本のように分厚い紙で

真っ白で

文字が1ページに少ししか

書かれていなくて


沢山ページをめくった

記憶があります


母はこの詩が大好きだったようです。


私が子供の頃は

へえ

という感じでした


大人になって

初めて上京した時に

障害者の方の舞台制作に関わり

大きなクジラの人形を作りました


彼らが書いた原画は

模造紙を何枚を貼り合わせたくらいに

大きくて

カラフルで


その絵のクジラが

三次元世界に飛び出してくる

という構想を提案しました


私はクジラの頭と尻尾のデザインをして

デフパペットシアタひとみの

団員のお一人と一緒に

軽い素材で作って


彼らの数人が

頭と尻尾を操縦し


残りのみんなは絵を一枚持って

スイミーのように

体の部分に集まり

みんなで一つの体になりました


演目は

生きる


そして最後に

全員で

谷川俊太郎の生きるを

一節ずつ

朗読しました


私が担当した一節は

自由ということ


そして

その頃からいつも気になっているのは

かくされた悪を注意深くこばむこと


最近

かくされた悪に

ようやく気付けるように

なってきました


かくされた悪を注意深くこばむこと


今の私に

必要な言葉だと感じています



 
 
 

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