冷蔵庫って素晴らしい
- miinakanon
- 4月10日
- 読了時間: 6分
自分がミニマリストだと自覚し始めたのは、2022年の春でした。様々な事情が重なり、一ヶ月で三回引っ越しをするという前代未聞の事態になり、引っ越しする度に荷物が減っていきました。最初は2LDKの広ーいアパート、その次は二部屋が縦に続いた広いアパート、最後の部屋は4.5畳ワンルームだったため、物理的に荷物を減らさざるを得なかったのもあります。今振り返ると、この一ヶ月を契機に、私の人生は大きく変化したと思います。
引っ越しはミニカに自分で荷物を積み込んで運んだので、一回目の引っ越しの時に、車に乗せられない冷蔵庫と洗濯機は手放しました。購入してから一年も経っていなかったので、新品のような美しさでした。が、運べないので、業者に来てもらいました。提案金額があまりに低くて力が抜けそうだったので、何とか交渉し、お店としては最高値をつけて頂いた記憶があります。
三回目の引っ越しで辿り着いた部屋は、ずっと憧れていた新築で、しかもずっと希望していた最上階の奥に佇む、実質角部屋でした。狭くて天井も低いのですが、玄関、居間、台所に備え付け収納があり、何よりも東に大きな窓があり、壁は真っ白で、私にとっては夢のような理想の部屋でした。
ここで暮らしたのは一年足らずでしたが、おそらく人生の中で最も幸せな毎日だったと思います。部屋という環境がこんなに人生に影響していることを実感したのも、この部屋に住んだおかげだと思います。
クーラーがあったので、冷蔵庫がなくても全く困りませんでした。元々昔ながらの生活スタイルが好きなので、野菜は新鮮なうちに頂き、食べ切れない分は干したり発酵させたりして保存食にしました。冷蔵庫置き場がまるまる空いたので、台所はとても広く使えました。
その次の部屋は、友人宅の空き部屋に住まわせてもらう形でした。同じ4.5畳でしたが、古い和室で、共有スペースである居間や台所には私物をあまり置けない感じでした。そこで食材は全て4.5畳の部屋の中に置く形でした。大きなスチールラックを2つ並べ、そこに籠や段ボール箱をびっしりと置き、大量の保存食を含む全ての食材を保管しました。
余談ですが、次第にモノが増え、自室が飽和してしまったので、後半は徐々に共有スペースにも私物が進出していきました。
例えば、部屋を出てすぐのデッドスペースに小さな箱を一つ置かせてもらい、そこにある食材はどうぞご自由に食べてください、としました。また、鍋や食器、日常使いの調味料や乾物、味噌なども台所などに置かせてもらいました。管理人駐在の一般的なシェアハウスではなく、個人の家に居候のような形で入居したため、今までの数々のシェアハウスでの生活とは全く違った工夫が必要でした。
シェア生活は楽しかったのですが、古いアパートだったので、クーラーどころか網戸もついていません。ここ数年は北海道もかなりの猛暑なので、元気な野菜でも2、3日しか日持ちしませんでした。せっせと干し野菜を作ったりしていましたが、同居人は見かねたのか、二年目の夏のある日、簡単に持ち運びができるポータブルの小さな冷蔵庫を買ってきました。正直なところ大変助かり、それで何とか首が繋がったような状態でした。
そして昨年2024年、約一年半のシェア生活を終え、再び一人暮らしが始まりました。ここ二年の気候や気温を省みて、今年はさすがに冷蔵庫なしではやれないと判断し、まだ寒いうちに、小さな冷蔵庫を買いました。

本日4月10日現在、まだ朝晩は涼しいため、玄関に置いた木箱を食材置き場として主利用しています。が、冷蔵庫も稼働し始め、葉物野菜や発酵が進んだ食品、時々しか使わない無添加ジャムなどは冷蔵庫内に入れています。
2、3ヶ月前から自然栽培のお野菜を宅配してもらっているのですが、最近有機栽培から自然栽培へ移行したばかりだそうで、やはり野菜の生命力が少し弱いのです。葉物野菜は常温保管だと3、4日が限界だということが分かり、玄関保管では少し不十分だなという印象でした。
農家さんが直接家まで届けてくれるので、余計なエネルギーが入っていないクリーンな状態です。それに、近所のスーパーには無農薬の野菜は置いていないので、買い物の手間も減り、大変助かっています。しかし二週間に一度の宅配なので、3、4日で野菜を食べ切ってしまうと、残りの10日間は、美味しい野菜を求めて遠くまで買いに行かなくてはなりません。
できれば少し多めにお野菜を買っておきたい、というのが、実は、冷蔵庫の購入を決める一番強い動機でした。冬の間にさんざん探し、最も音が静かなものを選びました。
冷蔵庫を使い始めると、もう、なんて快適なのでしょう!
今までは痛む前に食べ切らなくてはとお腹がいっぱいでも無理して食べたり、または手間をかけて干したり発酵させたり色々と工夫していました。また、豆乳は1リットルの方が安いけれど、常温では悪くなってしまうので200mlパックを沢山買い溜めしていました。さらにジャムや海苔の佃煮などの瓶詰めは、私は大抵無添加を選ぶため、常温では黴びやすく、まず滅多に買うことができませんでした。
そういう問題が全て一気に解決し、時間と労力が削減され、快適この上ありません。科学の進歩にただただ頭が下がる思いです。
私がミニマリストだと自覚した頃、持ち物は殆どありませんでした。ところが、YouTubeなどでミニマリストを名乗る方の動画を結構見ると、皆さん、割と近代的な生活をされていて、冷蔵庫も洗濯機も最新のものを使ったりしています。料理もあまりされない方が多く、台所には鍋も食器も殆どありません。また面倒くさがりの方が多く、掃除をしなくて良い工夫をされている方が多い印象でした。私とは対照的と言っていいほどに違っていて、かなり驚きました。
そこで自分のことを「自然派ミニマリスト」と名乗り、一時期はアメブロで、自然派ミニマリストの暮らしを発信していました。一般の方と私の違いは何なのか、私は何にこだわり、何を大切にし、どこがどんな風にミニマムなのか。
ボールペンを家用と持ち歩き用の計2本しか持たない私。基本的な肌着は全て3、4着ずつしか持たない私。掃除機も電子レンジもテレビも不要な私。夜は小さな照明一つとキャンドルで暮らす私。こんな私は明らかにミニマリストです。しかししっかり料理をしますので、私にとっての鍋のミニマムは一般の方よりも多いです。また、発酵食品や干し野菜を作るための道具、掃除用の箒とチリトリとバケツと大量の塩、モノ作りのための材料、楽器や機材など、明らかに一般家庭には無さそうなものが沢山あります。
しかし全体の物量は明らかに一般家庭よりも圧倒的に少ないと思います。どこに何があるかほぼ全て把握しています。部屋は整然と片付いていますし、掃除を欠かさないのでいつも綺麗です。モノの数と質は厳選しており、生活スタイルの変化とともに常にアップデートしています。お気に入りのモノばかりに囲まれていますが、しかしモノへの執着はあまりなく、簡単に人にあげたり、壊れたらあっけなく捨てたりします。そのくせ、直して使うのも好きで、丁寧にメンテナンスをして使い続けるモノもあります。
私のような人間は、新しいタイプのミニマリストかもしれません。新しい風とともに、流れるように、逆らうことなく、自分らしいミニマルの世界を実現するタイプです。
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